本質的な背骨の動き

正しい歩き方の姿勢を知って、筋肉の使い方とバランスを身につけよう

一流の武道家やアスリートたちは歩き方を意識している。

姿勢の良い美しい歩き方は、歩く動作に必要なエネルギーを正しく身体で処理し続けていることの証明だ。

筋肉への偏った負荷がないことは、余計なこわばりをなくし、整った肉体を手に入れるための前提条件になる。

極端な歩き方をする選手はスポーツ選手の中では珍しい。

よい選手はよい身体の使い方をするものだ。

美しく正しい歩き方を手に入れるためののコツをお伝えする。

歩くときに日ごろ無意識に使っている筋肉があるが、正しい筋肉によって前に進めば、余計な慢性痛から解放されるだけではなく、競技中のパフォーマンスにも大いに好影響を及ぼせる。

筋肉的なバランスを整え、試合や練習で良い成果を掴むためにも、さっそく読んでいってほしい。

正しいお辞儀を知って、初動化を覚えさせ筋肉の使い方とバランスを身につけよう・・

日常生活において正しいお辞儀を身につけ覚えることが大切である。

正座の姿勢は背筋を軸として整えることが重要である。

背骨と仙腸関節や股関節部位を意識させながら立位に移行することが最も大切である。

また、柔道や武道の訓練動作に於いてもバランス(センター。又は体軸)を保持するためには、骨格と筋肉のバランスを整えて作り・崩し・掛け・投げの一連の動作を行うことで効果を向上させる。

まずは猫背歩きを矯正しよう(踵の重心が悪い・・)

街を歩く人で一番多いのが、背筋の曲がった猫背歩きの人だ。

トップアスリートに猫背の人がほとんどいないのは偶然ではない。猫背でいると常に重心が身体の前方にかかり続ける。

そうなると歩行時に後ろから前へのスムーズな重心移動が行われるというより、一歩一歩身体が倒れてしまうのを「止めて」進んでいくような歩き方になる。

そうなると太ももの前方の「止まる筋肉」は発達するが、地面をしっかりと掴んで推進力を生み出す感覚や、下肢の裏側(お尻やハムストリングス)の筋肉の発達は促されづらい。

これが筋肉のバランスの悪さやたるみ、神経のこわばりと痛みや、競技時の動きのクセを生む原因になってしまう。そこで猫背歩きをやめるための、3つのコツをお伝えしておこう。

■肩の位置を確認する

よい歩き方でよく言われるのは、頭の上から糸で引っ張られているように身体をまっすぐにしようというものだ。

だがこの言葉だけを鵜呑みにしていても、よい歩き方をすることは出来ない。もともと姿勢が悪い人が無理にこのイメージで身体を立てようとすると、背筋に普段ない緊張が走る人が多い。

余計な負荷がかかって痛めてしまったりもする。

そこでまずは肩の位置を正しい位置に戻すことを考えよう。

1.まずは肩をすくませるようにして思い切り上げる。
2.肩と耳が近づく感じになったら、その状態から肩甲骨を背中側で締めるように近づける。
3.上げていた肩をストンと落とす。

この状態が自然で正しい歩き方に必要な肩の位置だ。多くの人はついつい肩甲骨が前方に落ちていってしまっている。

猫背気味の人は、ほぼ例外なく肩が前にいってしまっている。

この記事をパソコンで読んでいるのなら、あなたもついつい前のめりになっているかもしれない。

いくら上体をうまく立てようとしても、肩の位置がしっかりしていなければ良い努力にはならない。

肩が前方に落ちることで背筋が引っ張られて、かえって余計なこわばりが生まれてしまう。

胸を張れとはよく言われるが、肩が落ちているときに無理に胸を張っても、背筋の上部が硬くなってしまうだけだ。

まずは肩の位置を意識しよう。無駄な力が入るくらいに硬ければ、以下の記事を参考にストレッチを行って欲しい。

■あごを引く

歩き方の悪い人はあごを突き出すような姿勢のことが多い。あごが前方に出ているということは、頭が全体的に前に倒れていて、首の後ろ側でそれを支えているということだ。

これはいわゆるストレートネックの状態だが、重量が5kgほどもある頭が前に倒れていることで、すでに述べたような猫背の歩き方により近づいてしまう。

そこであごを引くことを意識してみよう。それだけでも身体の重心位置が変わることを実感できるはずだ。

あごを引きすぎてはいけない。

あごを引いたときに、自然に自分の頭の高さにあるものを視界の正面にとらえられる程度にひくこと。

前述の肩の位置を直さずにあごを引くと、後ろ首の下のあたりがこわばってしまうので注意。

■後ろに少しだけ・・上体を倒そう

肩の位置を治してあごを引いても、猫背の人は「前に倒れるように」歩くクセがなかなか抜けていない。

そのためどうしても頭や肩を含めた上体を前へ前へと持って行きたがる。

そこで歩く時にはほんの少しだけ、身体を後方にそっくり返らせてみよう。

背骨をたわませてお腹を出すのではなく、まっすぐになった背骨そのものを立てるイメージだ。

歩いている時に、左右に商店や住居のガラス戸があるなら自分の上体をチェックしよう。

後ろにのけぞっているなら倒しすぎだ。

肩の位置を治して上手くあごを引けているなら、前述の「頭の上から糸で引っ張られているような感覚」を探すといい。

一番ピンと来る場所で自分の姿を見れば、猫背が治った綺麗な姿勢である可能性が高い。

自分を見ながら姿勢を修正し、その感覚をしっかりと覚えよう。

■しっかりとした姿勢のときの感覚

猫背を治した状態で歩いてみると、猫背の状態に比べて視界の上下動が少なくなることに気づくはずだ。

いちいち倒れこんで止まるような歩き方では、頭の位置が「落ちて」「上がって」を繰り返すが、姿勢がしっかりしていれば自然と前方への推進力が生まれるため、頭の上下動が目に見えて少なくなる。

また、猫背の時は足裏全体に「べたっ、べたっ」と体重がかかっていたと思うが、姿勢を正すことで「かかと→つま先」という重心移動を感じられるようになる。

骨盤が立って股関節がよく動くため、歩幅も大きくなって、かかとから地面に接地する感触が大きくなるのだ。かかとにかかった体重が足の外側を経て拇指球に至り、親指から抜けていくような感覚が強くなる。

坂道を登るときは誰もが頭を前傾させて登るが、あえて姿勢を立てて登ると、この足裏の感覚や太ももの裏側を使う感じを非常にしっかりと感じることができるので試してみよう。

平地を歩く時にもその感覚を忘れなければ、自分が猫背になっているかどうかの指標になる。

■姿勢よく歩く3つのコツ

正しい歩き方の感覚が分かったら、その歩き方を維持するための3つのコツを意識してみよう。

一つは腹式呼吸で腹圧をかけることだ。

姿勢を正そうとすると反り腰になってお腹を突き出してしまう人が多いが、これでは腰に負担がかかる。

腹式呼吸によってしっかりと息を吐き出すことによってお腹の筋肉が収縮し、上半身に安定感をもたらすことが出来る。

これはメンタル的にもよい影響を及ぼす工夫なので、ぜひ実践して欲しい。

左右の足の間隔とつま先の方向を意識するのも大事だ。

つま先は外側に投げ出されておらず、前方にしっかりと向けられていること。がに股歩きのようだと好ましくない。

左右の足が設置するラインは重ならないように。

道路の白線分くらいの間隔は常に空け、その左と右に足を下ろしていくイメージを持とう。

■最後に腕を後ろによく振ること。

腕を振ることは効率的に歩いていくためには欠かせないものだが、特に肩甲骨を意識して後ろに腕を振ろう。

肩を動かさずに腕だけを振っても窮屈で歩きづらいが、肩甲骨を意識することで前方にリズムよく歩いていくことが出来る。

バスケットボールでも新入生にまず腕を振らせる学校もあるくらいだ。まずは試してみて欲しい。

しっかりとした歩き方をしてバランスの良い身体を手に入れられれば、練習や試合でのパフォーマンスは少しずつ変わっていく。

よい選手ほど自分の身体感覚には敏感だ。

慣れない人でも自分の身体と対話をする訓練だと思って、ぜひ今日から取り組んでみて欲しい。

■武道の殺法の体軸(背骨と肩甲骨)を意識して動作訓練

武道の活法の体軸(中心線)とは背骨と仙腸関節をセンターとして「下丹田(下腹部)中丹田(胸腺)上丹田(脳)」を意識する。

柔道の訓練動作や乱取り稽古は、作り・崩し・掛・投げの連動性の動きを土台とます。

立技や寝技に於いても人体には、活法の体軸(センターまたは、中心線ともいう)が存在します。

身体の中に実在する器官や組織ではなく、北斗星の概念です。

アスリートや、武道家の身体感覚としても重要な概念です。

柔道や武道を行う上でも、重要な身体感覚の一つです。

柔道を始め武道、スポーツ、ダンスでは、平衡(バランス)感覚というものが、大変重要になってきます。

自分の体が今どの位傾いているか、感じ取る必要があります。

柔道などの揉合系武道では、相手の中心軸を崩すことを主眼に技を繰り出します。

また自分の中心軸を感じて、身体を回転(合気道や柔道では、転換・転身・転回)させたり、平行移動(合気道では、入り身)を行い、技を繰り出すことになります。

地球上の全ての物体には重力(万有引力)が働いています。

重力は、地球の中心に向けて、物体に引力として働く力と北斗星の原則原理です。

重力は重力線(地球の中心と身体を結ぶ線)に沿って働きます。

体軸(中心軸)は、重力線上にあり、身体を天から地へ貫く軸です。

■体軸(中心線)と脱力の関係

体軸(中心軸)を説明するのに、操り人形が、よく例に示されます。
操り人形は、天から吊り下げられていて、体軸(中心軸)は、操り人形の中心を操る糸のようなものです

 

重力の原則

 

体軸(中心軸)の身体感覚が弱い、または中心軸が無いと、身体がある程度傾いても、倒れるまでそのことに気が付き難くなります。

またバランスを失った身体を立て直すのに、余計な力を必要とします。
体軸(中心軸)の身体感覚が強いと、操り人形のように、全身の力を抜いて立っていることが出来るわけです。
反対に力みが強い身体ほど、中心軸を感じ難く、重力に対して鈍感でバランスを失いやすいということです。

脱力が進んでいる身体ほど、体軸(中心軸)を感じやすく、重力に敏感で、倒れ難いということのようです。
力んでいると、そちらのほうに身体感覚が働き、その分、重力を感じ難くさせてしまうということです。
柔道の場合、回転動作(転換・転回・転身の体捌き)を行うときの軸足は、足の親指の付け根(拇指球)に体重を乗せるのがポイントです。

これは他の事にも共通するようです。バスケットボールのピボットターン、オートバイの外足荷重、スキーの外足荷重、ダンスでスピンターン(自転)するときの軸足荷重、フィギャースケートのスピンターンも。

ただし、柔道の場合、道場によって、踵(かかと)荷重を主張している所もあるようです。
人間の体は、沢山の臓器や筋肉・骨格で成り立っています。

これらパーツに掛かる重力の総和が、身体全体としての重力線のベクトルとして働いているわけです。

重力(万有引力)を、一般相対性理論で表現すると、時空の曲がりであると説明されています。

以上